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令和8年度施政方針

最終更新日:

はじめに

 令和8年第1回与論町議会定例会の開会に際し、与論町の令和8年度一般会計及び各特別会計の予算案、ならびに関連議案についてご審議をお願いするにあたり、与論町長として新年度の町政運営に臨む所信の一端を申し述べ、町民及び議員の皆さまのご理解とご支援を賜りたいと存じます。
 昨年を振り返りますと、令和7年は昭和元年から数えて100年となる年であるとともに、昭和20年の終戦から80年となる節目の年でありました。
 統計を紐解きますと、大正9年から我が国が実施している国勢調査において、本町の人口が最も多い年として昭和10年の8,630人という記録が残っております。
 昭和の時代は、その初期において島内初となる動力製糖工場が整備されたほか、島内で自動車や脱穀機が登場するなど、与論島における近代的な産業経済活動の萌芽となる環境整備が行われ始めた時期でもありました。新たな時代と共に登場した数々の近代的な機械や施設を目の当たりにし、豊かで幸せな島の未来に夢を抱いた人々も多かったのではと推測されます。
 しかしながら歴史が教えるところでは、その後の国際情勢の緊迫化を経て太平洋戦争の開戦へと至り、本町からも多くの方々が各地の戦場に赴かれたほか、一般住民の皆さまの多くも戦争が激化する中で満州開拓団として中国大陸へ移住され、凄惨な戦禍の中で尊い命が失われるなど、この島にとりましても耐え難い災禍の時代となりました。
 終戦を迎え、辛くも生き残ることが出来た方々も、その後の米軍による占領統治や食糧難など多くの困難に直面する中で、この島の暮らしを守り続けるために大変な努力を重ねて来られました。
 これら多くの方々の努力により、終戦後の昭和期においては祖国復帰や町制の施行、産業・交通インフラの整備、医療・教育・福祉の充実など今日の我々の生活の礎となる多くの生活環境が整備されてまいりました。
 時を経て、この100年の我が郷土の歩みに想いを馳せるとき、改めて先人の歩んだ筆舌に尽くしがたい苦難の道のりと大いなる努力の足跡に深甚なる敬意を表するとともに、今を生きる私達に託されたこの島の営みを次の世代へとしっかり繋ぐことの責任の重みを実感し、身の引き締まる思いを新たにしているところであります。
 この島の平和で豊かな暮らしを守り、次世代と繋いでいくために、100年の節目を経た「次の一歩」となる歩みを着実に踏み出すための、本町の令和8年度における各分野の取組について、我が国及び鹿児島県の施策動向を踏まえつつ、ご説明申し上げます。
 我が国においては昨年首相が交代し、先月実施されました衆議院議員総選挙を経て政権の基盤が大きく強化されたところと認識しております。この選挙により示された大きな民意の後押しを背景として、今国会にて提示されております我が国の新年度予算編成における基本方針では、今後安定的な物価上昇とそれを上回る持続的な賃金上昇が実現する「成長型経済」への転換を図ると謳われております。そのために将来世代への責任を果たす「責任ある積極財政」の考え方のもと、経済財政運営を行うとの方針が示されており、政治の安定を基礎として従来のデフレマインドや投資不足を打破し、日本の底力を引き出す政策への転換を断行することが強調されております。
 また、地方自治体への支援についても、長引く物価高騰を背景とする自治体経営への圧迫に対し、「重点支援地方交付金」のさらなる拡充や「地方特例交付金」による減税補填等を通じ、地方公共団体が様々な行政課題に対応し行政サービスを安定的に提供できるよう支援策が措置されております。
 鹿児島県においては「稼ぐ力」を本物にするために、物価高騰に負けない「強い産業」を作ることを最優先に掲げ、農林水産業分野におけるスマート技術導入への投資をはじめとした産業強化施策を行うほか、人材育成施策において県内就職を条件とした「奨学金返済肩代わり制度」の大幅拡充及びリスキリング支援としてのデジタル技術を学ぶ社会人への支援強化等が示されております。
 加えて、防災・減災と医療、災害対策分野のDXとして桜島をはじめとする火山防災に最新AI予測の導入や、離島・へき地医療のモデル構築を行う予定としております。
 これらの施策を中心として、鹿児島県においては「変化への即応」と「未来への先行投資」を基本とした予算編成を行い、国の積極財政という追い風を最大限に捉えながら、県内の各地域の「稼ぐ力」づくりをさらに加速させるための方針が示されております。
 これら我が国及び鹿児島県の施策動向を踏まえつつ、本町では令和8年度においても官民双方が連携し果敢なチャレンジを続けることで、単なる国や県の施策のフォロワーとして甘んじることなく、本町の置かれた地理的・社会的条件を活かした先駆的な課題解決への挑戦を通じ、国や県からの投資を引き出すようなトップランナーとなるための取組を展開してまいります。

1 島づくりは人づくり

 はじめに、島を未来へと繋ぐための喫緊の施策である子育て支援に係る施策の概要について申し上げます。

(1) 子育て政策

 急速に進行する少子化と人口減少に歯止めをかけ、将来にわたり持続可能な地域社会を構築するため、次のとおり出産及び子育て支援策を段階的かつ着実に取り組みます。

(1)「子ども・子育て支援体制の強化と一体的な相談支援の推進」
 令和9年度からの「こども家庭センター」設置に向け、令和8年度は保健センター改修事業を実施し、妊娠、出産、子育て、家庭に関する相談支援を一体的に行う体制整備を進めてまいります。あわせて、保健、福祉、教育等の関係部門が連携し、支援を必要とする家庭を早期に把握し、切れ目のない支援につなげる仕組みを強化してまいります。

②「妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援の充実」
 安心して妊娠・出産・子育てができる環境を整えるため、産前産後サポート事業を継続実施するとともに、子育て世帯訪問支援事業や子育て世帯情報発信・交流事業を新規で実施してまいります。
 また、出産・子育て等の補助金を活用するとともに町独自の事業である与論町子育て支援金、島外での出産に伴う宿泊費・交通費への公費助成を行う「安心クヮーナシ支援事業」等、離島特性を踏まえた支援を継続し、経済的・心理的負担の軽減に努めてまいります。

③「子ども第三の居場所の運営開始」
 令和8年度から、新たに「子ども第三の居場所」の運営を開始いたします。本事業は、家庭や学校とは異なる、子どもが安心して過ごせる場を確保し、一人ひとりの状況や想いに寄り添った支援を行うことを目的とするものであります。
 運営にあたっては、スモールスタートにより事業を開始し、子どもや保護者、地域の声を丁寧に受け止めながら、与論の子どもたちに合った居場所の在り方を共に考え、段階的な充実を図ってまいります。
 また、地域との連携を進め見守り体制の強化や多様な体験の機会を創出することで、地域全体で子どもを支える環境づくりを推進してまいります。

④「子どもの成長を支える生活環境・社会環境の充実」
 子どもが安心して過ごし、健やかに成長していくためには、「子どもの育ち」「親としての育ち」「地域での支え合い」「子育て環境の充実」の視点に立った各種支援策の推進が必要であります。
 このため、本町では、子どもの成長段階に応じた支援の充実を図り、家庭と地域が連携した子育て支援に取り組んでまいります。あわせて、町立こども園においては、保育者の労働環境改善や資質向上への支援を行い、保育の質の向上と人材確保を図ることで、安心できる保育・教育環境の充実を進めてまいります。
 さらに、令和8年度からは、与論町立こども園の再編整備に向けた基本計画の策定に取り組み、園児一人ひとりの最善の利益を第一に、保護者や保育者を支える運営体制の整備を進め、「こどもまんなか」の視点に立った持続可能な子育て環境の構築を目指してまいります。

(2) 未来を担う若者支援

 これからの島づくりを担う若者が希望を持って住める島づくりに取り組むとともに、結婚や子育て世帯となっても切れ目なく続く包括的な視点を持った若年世代への支援施策を展開してまいります。

①「若い世代に対するライフデザインへの経済的支援」
 令和7年度に引き続き、所得の少ない若い新婚世帯の新生活を応援し、少子化・子育て対策の一助とするために、引っ越し費用や家賃等の経済的支援を行い、若い世代の結婚や子育てに対する負担感を軽減し、結婚生活や子育てがライフデザインの選択肢となることを推進します。

②「子育て世帯を含む若者の広域生活圏活動の支援」
 「遊ぶところがほしい」、「買い物が出来ない」、「医療機関が少ない」、「選択肢が少なく閉鎖的だ」など、次世代を担う若年世代が持つ島の環境への不満や要望を受止め、息抜きがしやすく住みやすい島づくり、若者が様々に活動し挑戦が出来る島づくりのために、町民の多くが生活圏と認識する沖縄本島との往来の支援策についての効果性を調査し、若年世代から選ばれる島づくりを継続的な生活基盤整備として見据えた実証事業を展開してまいります。

2 豊かな島の生業づくりと安心して暮らせる環境の確保

 次に、産業分野及び生活環境整備について申し上げます。

(1)商工観光業の振興

 はじめに商工・観光分野に関する諸施策について申し上げます。
 まず、昨年度から引き続き商工業分野における「稼ぐ力」の創出に取り組むとともに、ヨロン島観光協会や商工会等が連携したワンストップ支援体制の強化を通じ、島内事業者の社会経済活動の拡大に寄与する環境基盤の整備に努めてまいります。
 また、ヨロン島観光協会の体制強化やJALグループとの連携プロジェクトの展開を通じた持続可能な観光に関する取り組みの推進について、次年度も継続して取り組んでまいります。
 島内の観光拠点整備については、サザンクロスセンターの展示内容のリニューアルを順次進めるとともに、隣接するゆんぬ体験館や与論グスク等の周辺エリアも含む一体的な利活用を進めることにより、観光客のみに留まらず地域住民も楽しめるエリアとして利用率の向上を図ります。
 また、大金久地区について、令和7年度に開業した渚の交番「Muuru(ムール)」を核として、国立公園の自然・文化の保全や利活用と、観光事業者や来訪者を含めたエリアマネジメント体制の構築を進めつつ、民間の活力を活かした魅力と賑わいのある観光拠点の整備に努めてまいります。
 沖縄との連携を軸とした広域的な観光・交流需要喚起策につきましては、沖縄北部の自治体や観光団体、交通事業者等との連携を強化・拡充し、広域連携による誘客と効果的な情報発信に努めるほか、ゲートウェイとなる与論港待合所の利便性・快適性の向上による活性化に取り組んでまいります。

(2)農水産業の振興

 我が国の農業を取り巻く環境は、長期的な国際市場の不安定化傾向や円安を起因とした燃油・資材価格高騰などの影響が依然として本町の農業生産に大きな打撃となる状況が続いており、農業生産コストの全般的な上昇に加え、国内農業市場の縮小や生産農家の高齢化などを背景とした担い手不足の問題など、農業全体における将来への不安が未だ払拭し難い問題として存在しております。
 このような厳しい状況下においても、引き続き国・県への働きかけや連携の強化を通じ「競争力のある強い産地づくり」を目標に、さとうきび、畜産、輸送野菜、花き、果樹を重点品目とする複合経営の推進を継続してまいります。
 さとうきび振興につきましては、引き続き国・県の事業等を活用しつつ増産計画に基づく振興策を進めるとともに、農地集積や機械導入支援事業等による経営規模拡大に対する経営基盤強化支援、生産安定対策の推進、土づくり及び適期管理作業の推進により農家の単収向上に努めてまいります。
 畜産の振興につきましては、国内の畜産業界全体が厳しい現状にあるなか、子牛取引価格は回復の兆しがありますが、長引く景気悪化や物価高騰などによる市場需要の低迷に加え、飼料や資材、燃油などの生産コスト全般の高騰が続いている状況下にあり、本町においては、地理的条件不利性も加わることで、さらに不利な経営環境の下、個々の畜産農家における生産意欲減退が懸念されております。
 このことから飼料の生産・確保におけるコストの低減、優良繁殖素牛の導入による商品性の高い子牛生産による生産性の向上など農家経営の安定化施策と併せて、環境資材導入助成、敷料供給による畜舎環境の改善等環境に配慮した畜産環境の整備事業等による畜産振興に引き続き努めてまいります。
 また、耕地面積の少ない本町における農地の有効活用と良質堆肥による土づくりの推進のため、さとうきび作などの耕種農家と連携し耕畜連携の更なる推進に努めます。
 園芸の振興につきましては、輸送野菜の生産拡大・品質向上に継続して取組むとともに、生産技術及び生産体系確立のための各種講習会や研修会の実施、農林水産物輸送コスト支援事業による輸送費支援等をおこない、園芸農家の経営基盤強化に努めてまいります。
 また、令和7年4月に本町において初めて確認された特殊病害虫セグロウリミバエのまん延防止対策に、国、県及び特殊病害虫防除対策協議会と連携し根絶に向けた取組を強化し、経済作物の経営安定を図ってまいります。

①水産業の振興
 本町の水産業は、水産資源の減少や少子高齢化を背景とする担い手の不足などの問題に加え、漁業活動に係る経費負担の増大が続いており、漁業従事者の経営が圧迫される状況が長引く課題として存在しております。
 水産資源の持続可能性の確保に係る施策については、これまで継続して実施している国の離島漁業再生支援交付金を活用した事業を推進し、藻場造成に係る有害生物の駆除など水産資源の回復への取組みを推進してまいります。
 また、事業者負担の軽減については、農林水産物等輸送コスト支援事業を活用し、輸送・流通経費の負担軽減策を実施することで、漁業者の経営安定及び販路拡大による所得の向上を図ってまいります。

②地元生産物の流通・消費の促進
 近年の我が国における国内農水産物の市場価格の上昇及び物価高騰の影響対策として、島内で生産される農畜産物等の有効活用を積極的に推進すると共に、消費拡大と「食」を活用した産業の多角化を図り、観光産業等と連携した商品開発に引き続き努めてまいります。
 また、原料の確保や販路開拓も重要であることから、原料の生産体制強化や市場調査など農商工連携による体制作りに取り組み、農水産物の消費拡大と奄振事業等も活用した特産品開発の促進を図ってまいります。

(3)健康づくりの推進

①「健康づくりの推進」
 本町における町民の皆さまの健康づくりにつきましては、健康づくりに関する長期ビジョンである「健康よろん21(第2次与論町民健康づくり計画)」に基づく、各事業・施策の実施を引き続き進めてまいります。

②「互いに支え合う福祉環境の充実」
 本町におきましては、近年高齢化率の上昇が続く傾向にあります。こうした状況の中で高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、介護や介護予防、生活支援等を包括的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を図るとともに、事業者だけでなく住民等が参画するような多様なサービスの構築に取り組みます。
 また、高齢者等の交通弱者支援として引き続き敬老バス無料乗車券及びタクシー乗車券の支給に取り組むほか、令和8年度を予定している公共交通計画の策定を通じた高齢者の島内移動への支援も併せて展開してまいります。
 さらに、高齢者の保健事業と介護予防等の一体的な事業の実施につきましては、与論町高齢者福祉計画及び第9期介護保険事業計画に基づいて、疾病予防や重症化予防、要介護者等が自分らしく自立した日常生活を送ることができるよう関係機関と連携をとりながら推進してまいります。

(4)くらしを守る対策

①「水道事業・下水道事業」
 水道事業については、公営企業として経営の安定確保を図るとともに、安全な水道水の安定供給に向けて次のことに取り組んでまいります。
 まず、令和6年度から令和7年度にかけて策定した更新計画に基づき、水道施設の更新に取り組んでまいります。次に、浄水場の機能維持を図る為にイオン交換膜の洗浄取替、淡水化施設の保守点検を行い水質の安定に努めます。さらに、有収率の向上のため流量計を活用した流量調査及び漏水調査を進めながら、建設改良工事による老朽管の更新に努めてまいります。
 また、経営の安定のためには財源の確保が必要であるため、国庫補助、起債の活用を進めるとともに、料金改定の検討についても併せて行います。
 下水道事業については、公営企業として健全な経営を目指すとともに、維持管理適正化計画や経営戦略等を活用し、適切な事業運営を行います。排水処理施設の機能強化対策事業による施設機械更新を進めながら、既存施設の点検整備を図り、放流水質の適正管理による環境保全に努めてまいります。

②「住宅整備の推進」
 近年、本町の喫緊の課題となっている住宅不足の解消に向けて、本町の住宅ニーズに合わせた柔軟な利用を可能とする町営単独住宅(朝戸住宅)整備に着手しております。
 整備の計画として令和7年度に基本・実施設計を行い、令和8年度に造成工事を予定しており、随時住宅整備も進めてまいります。また空き家活用対策につきましても、次年度より同対策の推進に専従の地域おこし協力隊を募集し配属することとしており、人材の確保を通じた空き家再生のさらなる推進にも引き続き注力してまいります。

③「防災・災害対策」
 令和7年度における防災・災害対策については、令和7年5月から地域防災マネージャーの資格を有する人材を地域防災専門員として配置するとともに、7月に地域防災計画の更新を行い、最新の社会情勢及び防災行政制度に対応可能な計画体制を整備したほか、11月には町独自の防災訓練を実施し、本年2月には国及び鹿児島県と連携し、国民保護訓練を実施いたしました。
 また、町内最大の指定避難所である砂美地来館につきましては、奄振事業を活用し災害発生時の避難施設としてしっかりと安全を確保できるよう、施設機能の強化改修を実施してまいりました。
 加えて、火災時の消防活動の効果を十全に発揮するための10トンタンク車の更新整備や、狭小な火災現場にも機動性を活かし消防水利を供給するための移動水利施設の新規整備などにつきましても、その導入に向けた手続きが進んでおります。
 こうした事例からも、令和7年度における防災・災害対策については一定の成果を得られたものと認識しております。
 一方でこれらの災害や緊急事態への備えを進めていくうえで、未だ大きな課題となっている部分も多くございます。そのため、令和8年度においては、島内の限られた人的・物的資源を最大限効果的に活用し、大規模災害等の緊急事態への迅速かつ適切な対応を図るため、ハード・ソフト両面での災害対応策のさらなる推進に努めてまいります。
 具体的な事項として、大規模災害発生時の島外からの救援人員や物資の受入に係る「受援計画」の策定及び物資備蓄のあり方についての住民参画による検討作業の推進、町内の各学校施設を活用した避難場所の確保と各地区の避難施設における避難所機能の強化について、重点的に取り組む予定としております。

3 宝を守り次世代へと繋ぐ地域づくり

 次に、与論町にしかない宝を守り次世代へ繋ぐ地域づくりの施策について申し上げます。

(1)景観条例の制定

 与論町の美しい景観は、私たちにとってかけがえのない宝であり、ここに暮らす皆さまが等しく享受する共有の財産であります。この美しい景観を守り、次世代へと守り繋ぐことができるよう、令和6年度より町内の各関係者や有識者を交えて「与論町景観条例検討委員会」を複数回開催し、与論町景観条例の制定並びに与論町景観計画の策定に向け準備を進めてきたところであります。
 当初、令和7年度中の制定を予定しておりましたが、現在議会での継続審議を頂いているところであります。景観条例の策定については、有識者をはじめとする多くの関係各位の方々のご協力や、町民の皆さまのご参画を経てご審議を頂いております。本条例の早期制定を目指し、全ての関係者の皆様と協力し取り組んでまいりたいと考えております。

(2)教育・文化の振興

 本町における教育の推進については、「あしたをひらく心豊かでたくましい人づくり」を基本目標として「個性が輝き 島が輝く誠の教育 ~最南端は最先端~」をキャッチフレーズに「夢や希望をもち、粘り強く学び、困難を乗り越えたくましく生きる人間の育成」を目指す教育の推進と各学校の自主的な教育活動の支援及び最先端教育の具現化と発信に引き続き取り組んでまいります。
 具体策として、令和8年度においても引き続き本町における教育関連施策について、教育委員との連携による協議・検討の更なる活性化を図り、「豊かな心と健やかな体を育む教育の推進」「信頼され、地域とともにある学校づくりの推進」、「地域全体で子どもを守り育てる環境づくりの推進」、「生涯にわたって学べる環境づくりとスポーツ・文化の振興」を重点施策として掲げ、教育行政の充実を図ります。

①社会の変化に対応できる力を育む教育の推進
 本町において育つ子どもたちが将来社会を構成するかけがえのない一員として活躍できる力を伸ばしていけるよう、教育環境の整備を図っていく必要があります。そのため、学校教育において子どもたちと主体的・対話的で深い学びが可能な環境を充実させ、基礎学力の確実な習得と、自ら学び、主体的に判断・行動し、問題解決能力や表現力を伸ばす教育のさらなる充実に資する取組を推進してまいります。
 特に、本町における特色ある教育のひとつである海洋教育においては、子どもたちがこども園から小中高まで一貫した教育体制の中で、地域を支える次世代人材として広く活躍できる力を個々の特性を活かして伸ばすことのできる環境の確保が重要であります。
 そのために、これまでに取り組まれてきたプログラムをさらに強化し、地域との連携を推進するとともに、子どもたちの非認知能力を伸ばす教育、教育カリキュラムの魅力化など本町の教育環境の更なる拡充に引き続き取り組んでまいります。
 また、町内の小・中・高校間のシームレスな学びの接続と、学校・地域との間の連携体制の強化を進めることで、子どもたちが地域から学び続けることのできる探求学習の充実を目指します。
 これら海洋教育の推進・拡充に係る各施策の展開により、与論で学ぶ子どもたちの自己肯定感や粘り強さ、地域を愛する心や社会貢献意欲の向上を促進してまいります。
 学力面では、個別指導や自主学習の推進を図り、学習指導要領の趣旨に基づく、学びに向かう力の醸成に努めるとともに、デジタル教科書やタブレットを活用し、デジタルの強みを活かして他の様々な教材やソフトウェアと効果的に組み合わせ、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図ります。
 さらに、家庭学習等、親子の悩み全般に寄り添い、教育委員会として提供可能なサポートやアドバイスを最大限行っていきます。
また、この島の先人たちから継承されてきた伝統文化を尊重し、それらを育んできた郷土の環境や身近な島の暮らしを愛し、誇りに思う心を養うとともに、望ましい勤労観・職業観を身に付けられる教育環境づくりに努めてまいります。

②信頼される学校づくりの推進
 本町における信頼される学校づくりのために、令和7年度から導入している保護者・地域住民から学校教育に対して幅広く意見を述べることが可能な学校運営協議会制度について、地域と一体となり開かれた学校づくりをさらに推進してまいります。
 また、教職員の資質向上に努め学校運営を充実させると共に、PTA活動の活性化を通して保護者・地域との連携を深め、安全・安心な学校づくりを推進します。
 現在、多様な個性や特性を有する子どもが在籍していることを踏まえ、多様性を包摂し一人ひとりの意欲を高め、可能性を開花させることが必要です。このため特別支援学級だけでなく通常の学級においてもソフトウェアを活用したり、特別支援教育コーディネータを中心にチーム体制で対応するなどインクルーシブ教育の推進を図ります。
 健康・体力の向上においては、これまでどおり健康診断等による健康状態の把握や生涯にわたり運動・スポーツに親しむ力を育むと共に予防歯科に関する指導を充実し、生涯にわたる口の健康を守る態度を育てていきます。
 新学校給食センター整備については、令和8年度中に設計施工一括発注方式により事業者を決定し、令和10年度中に配食が開始できるよう進めてまいります。
 那間小学校校舎については、一時使用校舎を使用しながら、建て替えに向け学校建設検討委員会を立ち上げ、地域の皆様と丁寧な議論を進めてまいります。
 また、こども園、小学校、中学校、高等学校の緊密な連携の下、幼児教育、学校教育、家庭教育の一貫した体制での教育施策の推進を図るとともに、幼児、児童生徒の健やかな成長を促進するために教育機関のみに留まらず各関係機関とも連携を進めてまいります。
 併せて小中学校の児童・生徒数の減少の抑制及び中学校・高等学校における学年2学級維持を図りつつ、一人ひとりの進路実現のために、魅力ある学校づくりの推進、与論町ふるさと留学制度の利用促進等に努めます。

③地域全体で子どもを守り育てる環境づくりの推進
 人づくりは、家庭はもとより地域が担う役割が大きいものです。
 子どもを「島の宝」として地域で育てる風土を生かし、スポーツ、文化活動等にかかわる関係団体・機関、連盟、PTA・子ども会活動の活性化と充実を図り、体育・スポーツ、伝統・文化的な地域行事を通して、地域全体で子どもを守り育てるための取組を推進します。
 そのひとつとして、県内でも先駆的な取組として注目されている、与論中学校の部活動の地域展開を一層充実し、学校と地域が連携したスポーツ環境・文化芸術環境づくりを進めます。

④生涯にわたって学べる環境づくりとスポーツ・文化の振興
 町民が自らの人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、生涯に渡りスポーツを楽しんだり、文化等について学べる環境づくりを目指します。
 併せて、郷土の伝統文化や文化財を守り育て、様々な芸術に親しむことは、豊かな心の育成や地域創造につながります。
 現在、各種公共施設や自治公民館等において分散開催されている公民館教室につきましては、講師の方々や受講者の皆さまからのご意見やご要望等も取り入れることで、より充実した活動が継続して行えるよう取り組んでまいります。
 また、これまでの調査成果が認められ令和7年3月に国の史跡指定を受けた与論城跡につきましては、シンポジウムの開催や講演会等を通じて島内外へその魅力を発信することができました。令和8年度からは、与論城跡保存活用計画を二ヶ年計画で策定予定としていることや、与論城跡以外にも町指定の貴重な文化財である「与論島の生産・生活用具」の台帳整備、保管環境の改善事業を行うこととしております。
 本町の歴史・文化を知るうえで貴重な財産となるこれらの文化財を後世に語り継ぐためにも関係機関の協力も得ながら保存・活用に取り組んでまいります。

予算の編成

 次に、各施策実施の裏付けとなる令和8年度予算について概要をご説明致します。
 本町の令和8年度一般会計当初予算につきましては、こども家庭センター整備事業、こども第三の居場所運営、クリーンセンター焼却設備定期整備事業費、中学校体育館改修事業費などを盛り込んだ予算編成となり、対前年度比1.5%増の歳入歳出56億7,158万7千円を計上しております。
 また、特別会計については、国民健康保険(事業勘定)事業特別会計で7億6,577万1千円、介護保険事業特別会計で7億4,277万1千円、後期高齢者医療事業特別会計で1億247万1千円、と畜場特別会計で25万3千円となっております。これらの特別会計の合計で、前年度比4%減の16億1,126万6千円となっております。
 水道事業会計については、前年度比3.4%増の1億9,059万5千円、下水道事業会計が5,439万1千円となっております。
これら一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算総額は75億2,783万9千円で前年度に比べて0.29%の増額となっております。
 なお、予算編成の過程で生じた財源不足については、財政調整基金から3億1,390万8千円を繰入れております。

むすびに

 以上、令和8年度の主な施策の概要等について申し上げました。
 本方針の冒頭にて申し上げたとおり、昭和から100年の節目を経て、新しい歩みを始める本年においても、本町を取り巻く社会情勢は奔流のごとく変化し続けています。そのような中にあって、私はどのような時代においても大きな困難を乗り越えて、未来を切り拓いてきたこの島の方々の底力を信じて疑いません。
 本町が直面する地域課題は種々多様に山積されておりますが、これらの課題をむしろ契機として、より逞しい成長を遂げていく島づくりを目指し、従来の固定概念や前例主義にとらわれることなく、当事者の声を近くで伺いながらあきらめずに考え続け、工夫を重ねることで平和で豊かな島づくりの道を拓いてまいりたいと考えております。
 また、令和8年度におきましても、第6次与論町総合振興計画及び第3期与論町総合戦略に掲げた将来像及び人口ビジョンの実現に向け、各般における施策を着実に推進してまいります。
 併せて、施策の効果を多くの方々に実感していただけるように、周知・広報と町民の皆さまへのご説明を丁寧に展開してまいります。
 次の世代へ誇れる与論町を引き継ぐため、町民の皆さまと力を合わせて、総力戦で取り組んでまいる所存ですので、議会をはじめ、町民の皆さま方のご理解とご協力が不可欠であります。
 議会の皆さま、そして町民の皆さまに対しまして、今一度本町の行政運営へのご理解とご指導・ご鞭撻を心よりお願い申し上げ、私の令和8年度の施政方針とさせていただきます。
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