○与論町地下水採取の規制に関する条例
昭和53年12月22日条例第35号
与論町地下水採取の規制に関する条例
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,与論町における地下水の採取を規制することによつて,地下水源の保全を図り,町民の飲料水確保と公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「地下水」とは,地下から揚水設備により採取するすべての水(温泉法(昭和23年法律第25号)による温泉を除く。)をいう。
2 この条例において「揚水設備」とは,動力を用いて地下水を採取するための設備をいう。
第2章 町長の責務
(基本的責務)
第3条 町長は,あらゆる施策を通じて町民の飲料水確保と公衆衛生の保持のため,最大の努力をしなければならない。
(調査,研究及び水道普及)
第4条 町長は,前条の目的を達成するため,地質水質その他水に関する事項について調査,研究し,水道の普及を図り水不足の解消に努めなければならない。
第3章 地下水の規制
(規制地域)
第5条 町長は,地下水を採取することにより地下水の水位が異常に低下し,塩水若しくは汚水が地下水源に混入し,町民の飲料水確保に支障がある場合又は,そのおそれがある場合には地域を限つて規制地域として指定することができる。
2 前項の規制地域は与論町規則(以下「規則」という。)でこれを定める。
(採取の許可)
第6条 前条の規制地域内において,揚水設備により地下水を採取しようとする者は,揚水設備ごとにストレーナーの位置及び揚水機の断面積を定めて規則で定めるところにより町長の許可を受けなければならない。
2 町長は,前項の許可に飲料水確保,公衆衛生上必要な条件を附すことができる。
(許可の基準)
第7条 町長は,前条の許可の申請に係る地下水採取が規則で定める基準に適合していると認めるときでなければ許可をしてはならない。
(公共団体の特例)
第8条 町その他の公共団体が公共の用に供するため地下水を採取する場合については,町その他の公共団体と町長との協議が成立したことをもつて前条の許可があつたものとみなす。
(経過措置)
第9条 この条例の規制地域内に現に当該地域内の揚水設備で地下水を採取している者は,第6条第1項の許可を受けたものとみなす。
2 前項に規定する者は,この条例施行の日から起算して1ケ月以内に規定で定めるところにより,当該揚水設備について町長に届け出なければならない。
(氏名等の変更の届出)
第10条 採取者は,その氏名若しくは名称又は住所若しくは所在地に変更があつた場合においては,14日以内にその旨を町長に届け出なければならない。
(許可の承継)
第11条 採取者から許可揚水設備を譲り受け,又は借り受けてこれにより地下水を採取する者は,当該許可揚水設備に係る採取者の地位を承継する。
2 採取者について,相続又は合併があつた場合においては相続人又は合併後在続する法人若しくは合併により設立した法人は,採取者の地位を承継する。
3 前2項の規定により採取者の地位を承継した者は14日以内にその旨を町長に届け出なければならない。
(許可の失効)
第12条 採取者が,その許可揚水設備につき,次の各号の一に該当するに至つた場合においては,当該許可揚水設備に係る第6条第1項の規定による許可は,その効力を失う。この場合においては,採取者は14日以内にその旨を町長に届け出なければならない。
(1) 許可揚水設備により地下水を採取することを廃止したとき。
(2) 前号の場合のほか許可揚水設備を廃止したとき。
(許可の取消等)
第13条 町長は,採取者がこの条例若しくはこの条例に基づく処分に違反したときは第6条第1項の許可を取消し,又は地下水の採取を禁止し,若しくは制限することができる。
(公開による意見の聴取)
第14条 町長は,第13条の処分をしようとするときは,当該処分をすべき者又はその代理人の出頭を求めて公開による意見の聴取を行なわなければならない。
2 町長は,第12条の処分の原因を認められる違反行為並びに意見の聴取の期日及び場所を公開による意見の聴取を行なう期日の1週間前までに当該採取者に通知しなければならない。
(措置命令)
第15条 町長は,揚水設備が規則で定める基準に適合しなくなつたと認めるときは,当該揚水設備の管理者に対して相当の期間を定めてその基準に適合させるため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 町長は,地震,干ばつその他の災害等予測することができない特別な事由により緊急の必要があると認めるときは,採取者に対して相当の期間を定めて地下水の採取を制限することができる。
(報告の徴収)
第16条 町長は,この条例に必要な限度で規制地域内において地下水を採取している者に対し,地下水を採取するための設備の構造及び地下水の採取の状況について報告を求めることができる。
(立入検査)
第17条 町長は,この条例による権限を行なうため必要な限度において,その職員に地下水を採取するための設備の設置場所又は当該設備により地下水を採取する者の事業所若しくは事務所に立ち入り当該設備その他の物件を検査させ,又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は,犯罪捜査のため認められたものと解釈してはならない。
(土地の立入り)
第18条 町長は,この条例を施行するため,地下水又は地盤の状況に関する測量又は実地調査を行なう必要があると認める場合は,その職員に土地に立ち入らせることができる。
2 町長は,前項の規定によりその職員に他人の土地に立ち入らせようとする場合においては,立ち入りの日の5日前までに,その旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3 第1項の規定により他人の土地に立ち入る職員は,立ち入りの際あらかじめその旨を土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前又は日没後においては,第1項の立ち入りをしてはならない。ただし,土地の占有者がある場合を除く。
5 第1項の規定により他人の土地に立ち入る職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人に提示しなければならない。
6 土地の占有者は,正当な理由がなければ第1項の規定による立ち入りを拒み,又は妨げてはならない。
第4章 地下水保全審議会
(設置)
第19条 町長の諮問に応じ,地下水の保全のため必要な調査,審議をするための地下水保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(諮問)
第20条 町長は,第13条又は第15条第2項の規定により処分しようとするときは,審議会の意見を聞かなければならない。
(組織及び運営)
第21条 審議会の組織及び運営に関する必要な事項は,規則でこれを定める。
第5章 雑則
第22条 この条例に規定するものを除くほか,この条例の施行について必要な事項は,規則で定める。
第6章 罰則
第23条 次の各号の一に該当する者は,10万円以下の罰金に処する。
(1) 第6条第1項の許可を受けないで規制地域内で揚水設備により地下水を採取した者
(2) 第13条又は第15条の規定による町長の命令に違反した者
第24条 次の各号の一に該当する者は,3万円以下の罰金に処する。
(1) 第9条の第2項,第10条,第11条第3項又は第12条の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をした者
(2) 第16条の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をした者
(3) 第17条第1項の規定による立入検査を拒み,妨げ,又は忌避した者
(4) 第18条第6項の規定に違反して第18条第1項の土地の立ち入りを拒み,又は妨げた者
第25条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従事者が,その法人又は人の業務又は財産に関し,前2条の違反行為者を罰するほか,その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
この条例は,公布の日から施行する。
附 則(平成13年3月14日条例第13号抄)
(施行期日)
この条例は,平成13年10月1日から施行する。