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歴史・伝統文化

十五夜踊り

2009年7月29日(水)

十五夜踊り

 与論十五夜踊りは、室町時代の永禄四年(1561)に創作され、それ以後四百三十余年踊り継がれてきました。
 この踊りは、一番組と二番組で構成され、 一番組の踊り言葉は室町時代の狂言等から取材し、 その踊り方は本土風のものとなっております。
 二番組の踊り言葉は、与論島をはじめ奄美諸島や琉球諸島から取材し、その踊り方は琉球風の舞踊を取り入れております。
 一番組の装束は、全体的に白装束に黒足袋で踊ります。 但し演目によって面を付け替えたり、扮装等が変化します。
 それに対して二番組の装束は、 頭にシュパという長いスカーフのような頭巾を巻いて顔面を覆います。 服装は全体的に黒に近い紺染めの衣装で、帯は幅広を使用し、後ろにテイサージと言う手拭いを下げます。 手には、日の丸印の扇子を持つ演目と、持たない演目がります。 足袋は、一番組と同様に黒足袋を着用しております。 二番組が演じる各演目は全て、 同じ衣装で演じます。
 この与論十五夜踊りは日本本土と琉球諸島の芸能史上貴重なものとされており、現在各大学や教育機関等で研究されつつあります。

 

<二番組・一番組合同>雨賜り(あみたぼうり・扇踊り)

【配役】
旗振り・旗振り捕手・太鼓打ち・太鼓持ち・三味線・金タレー・歌上げ ・手引き・踊り子

【解説】
「雨賜り」は、雨乞いの踊りです。
大旗(「嶋中安穏」と筆太に書かれている)を先頭に、太鼓持ち、太鼓打ち、金盥打ち(金タレー)、三味線ひき、二番組の踊り子の順で行列をつくり「雨賜り、賜り、島がぷうどぅ世がぷう」と三回繰り返し歌い踊ります。

【詞章】
雨賜ぼうり 賜ぼうり 島が富どぅ 世が富

 

<二番組>一度いふて(いちどいうて・扇踊り)

【配役】
太鼓打ち・太鼓持ち・上げ・手引き・踊り子    

 

【詞章】
一度言ふてにて、二度言ふてにて去り、三度言ふてにて、ならざりば置き去り。鉄で延べたる身でもなし。

其方百迄我は九十九迄、心替るな何時迄も。七里八里の山道越えて、来るは誰が故か様が故、とるへとるへの山道越えて、来るは様が故。

 

<一番組>三者囃子(さんばすう)

【配役】
大明 ・小座・傘売り  

【解説】
例年行われている豊年諸願成就の祭事の祝儀に「末広がり」を持参することになった大明(大名)が、家来の太郎小座に「末広がり」を買ってくるように命じました。しかし、太郎小座は「末広がり」を知りません。

大明からその姿かたちをよく聞いて都へ買いに出ました。ところが、傘売りに騙され、高い値段で破れ傘を買わされて戻り、大明に叱られます。口惜しがる太郎小座は、都の傘売りから教えられた踊りを大明に披露します。
「傘さーすーなーらー春日山
人の傘さーすーなーらー吾もさす
さーそーい儀にもさーりーば
世がいもーそーよな」
そして無事大明の御機嫌を取り戻す事ができます。

【扮装】
大明→大明兜・大明袴・面・刀二本・扇子
小座→シュロ兜・小座面・刀一本・一貫目
傘売り→櫛笠シュパホーガイ・刀二本・古傘

【詞章】
大明「罷出たるは此の辺に於てかくれようもない大明で御座る。今日はいつもんの通り豊年諸願行事として、例年の祭事があろうと聞く。それにつき「そいひるがい」と言う祝のものを持って行にはならん程によい。」
太郎小座太郎「小座。」
小座「はいはい」
大明「今日はのう。」
小座「はいはい」
大明「いちむんの通り豊年諸願行事として例年の祭事があろうと聞く。それにつき「そいひるがい」と言う祝のものを持って行にゃならん程に早々買うて来やり。」
小座「畏りました。扨て「そいひるがい」と仰せられまするは如何様な物で御座いますか。」
大明「末広いと言うはのう、斯うそいが広がってかなみしっかとして、みろうて見ればのんみのんみとのみましてはずいて見ればくんくんとしてざありざっとかいたのうぎで早々買うて来やり。」
小座「畏りました。扨てこうしーがひるがりましてかなみしっかとしまして、みろうて見ればのんみのんみとしまして、はずいて見ればくんくんとしまして、ざありざっとかいたのうぎで御座いますか。」
大明「太郎小座物覚がちい。早々買うて来やりー。」
小座「畏りました。扨て都の人と申すも心が安方にあり、先ず此のあたりから行ってわろうて見ろう。そいひるがい買う買う。」
傘売り「はゝ田舎人だそうな、「そいひるがい」を売しらず、そいひるがい買お買おと言う。此の程の古傘を持って、いん一が一、一貫目でだまかいて売ってまいらそうー。「そいひるがい」売ろう売ろう。」
小座「くらもしもし。」
傘売り「なんとなんと。」
小座「扨て「そいひるがい」を買います買います。」
傘売り「扨て「そいひるがい」を売ります売ります。」
小座「扨て「そいひるがい」と申すは如何様な物で御座いまするか。」
傘売り「扨て「そいひるがい」と仰せられまするは是が事で御座いまする。」
小座「なるほど御座いました。そいが広がったと申すはどのぎで御座るか。」
傘売り「そいが広がったと仰せられまするは、ぷんぷん是事で御座いまする。」
小座「成程ひるがりました。要しっかと打ったのうぎと申すはどのぎで御座るか。」
傘売り「要しっかとおったのうぎと仰せられまするは此の金の事で御座いまする。」
小座「成程金が御座いました。見ろうて見ればのんみのんみと申すはどのぎで御座るか。」
傘売り「見ろうて見ればのんみのんみと仰せられまするは、是が事で御座いまする。是は、何が物の上手の砂のと草を持って、七日の七重さみがきたてましたに依って、こう見ろうて見ればのんみのんみとのみましる。」
小座「成程のみそうで御座る。はずいて見ればくんくんと申すほどのぎで御座るか。」
傘売り「はずいて見ればくんくんと仰せられまするはくんくん此が事で御座いまする。」
小座「成程くんみきました。ざありざっとかいたのうぎと申すはどのぎで儀御座るか。」
傘売り「ざありざっとかえたのうぎと仰せられまするは、こうしぼんみまして取替をしまして、此の柄を持ってぷん是が事で御座いまする。
小座「成程うたりそうで御座る。れいしんはおいくら。」
傘売り「いん一が一、一貫目で御座いまする。」
小座「ちと高値では御座らんか。」
傘売り「したらば掛値なし、掛値なし。」
小座「代金をのぼって買いますぅ。」
傘売り「大金をのぼらっしゃりー。成程受け取りました。くらもしもし。」
小座「なんとなんと。」
傘売り「是を買うて下る人のう。」
小座「はい。」
傘売り「若し旦那の御機嫌をはずれたる時、これを直し置きはやし事を教えてあり、私一幅やっち進じます。」
小座「是は一段かたじけのう御座る。」
傘売り「ぷんぷん此の金に止めましてのう。」
小座「はい。」
傘売り「傘をさあすうならかあすが山、人の傘さあすうなら我もさす、さあそーい儀にもさあーりーばよがいもそうよな。此が事で御座いまする。」
小座「是は一段かたずけのう御座る。私一幅やっちますう。」
傘売り「そうれもよう御座る。」
小座「ぷんぷん此の金に止めまするか。」
傘売り「はい。」
小座「傘をさあすうならかあすが山、人の傘さあすうなら我れもさあす、さあそうい儀にもさありばよがいむそうな。」
傘売り「さても小座様物覚がつよう御座る。」
小座「来年も登って買いますう。」
傘売り「来年も登らっしゃり。」
小座「旦那様旦那様。」
大明「なんとー。」
小座「「そいひるがい」を買うて参りました。」
大明「どら出せ。」
小座「是が事で御座いましる。
大明「ひとすり「そいひるがい」と言う物か。」
小座「扨てそいひるがったと仰せられまするは、ぷんぷん是が事でございまする。要しっかと打ったのうぎと仰せられまするは、此金の事で御座いまする。みろうてみればのんみのんみと仰せられまするは、是が事で御座いまする。是は何が物の上手の砂のと草を持って、七日の七重がき立てましたに依って、こうみろうて見ればのんみのんみとのみまする。はずいてみればくんくん仰せられまするは、くんくん是が事で御座いまする。ざありざっとかえたのうぎと仰せられまするは、こうしぼんみまして取替をしまして、此の柄をもってぷんこれが事で御座いまする。」
大明「人呑小座、一切きって捨てても足らんやちゅのみ、又も来たなら切って捨てう。」
小座「「くちうしやくちうしや、はるばるの都にのぼって町人にだまさり、「そいひるがい」を買い損じ旦那の御機嫌をはずりたり。さりとはさりとは無念なことでありはゝちとあんじだれた事がある。都の人と申すも心が安方あり、是を直し置きはやし事をおしえてあり、私一幅やっち見ますうぷんぷん。傘をさすなら傘が山、人の傘さあすーなら我もさす、さあそういぎーにもさありーはよがいもそうよな。」
大明「ほゝほゝほゝゝ如何にもかにも大郎小座、其の傘早く持って我が上さしかきーて、ぎーにもさあーりはよが いもそうよな。」

 

 

<二番組>この庭(このにわ・扇踊り)

【配役】
「一度いふて」に同じ

 

【詞章】
此ぬ庭ぬ内に、参りて見りばやな、見事八重ぬ上に、黄金花咲く。又此ぬ庭ぬ、いぬへの住吉降りてぃ見りば、去年より今年、世間なほよし。

 

<一番組>二十四孝(にじゅうしこう)

【配役】
長者大翁・築登之・雲上人・坊翁・ミトガネ

 

【解説】
八十余歳に長者の大翁は噛食物では余生幾らも生きられないので、孫を犠牲にして孫が飲んでいる乳で少しでも長生きしたいと子どもたちを呼んで相談します。しかし、長男次男は「自分の子どもが大切である」と断ります。同じように相談を受けた三男の坊翁は「若い自分達夫婦には、子どもは又できるだろうが老いた親は二度と得られない」という妻の意見もあって、長者の大翁の相談を承諾します。親孝行の為とは言え、我が子を埋める事になった坊翁夫婦は、泣く泣く長者の大翁が指示した場所を掘ります。ところがその場所から黄金白銀が沢山でてきます。実はこの宝物は、長者の大翁が若い時から蓄えてあったもので、親孝行する子どもに与える為の宝物であったのです。

 

【扮装】
長者大翁→大翁面・大翁羽織・杖・扇子
築登之→シュパ三角被り・帯前結び
雲上人→築登之に同じ
坊翁→坊翁羽織・襷掛け・鍬・黄金白銀
ミトガネ→ミトガネ笠・人形・白羽織り

 

【詞章】
長者大翁「出ようちゃるむんや、吾ど長者の大翁やしが、歳や八十余になりば、噛物せいや、続からんあせし子のちや呼で相談さー築登之。」
築登之「ううう。」
長者大翁「お前が知ちゅる通り、歳や八十余になりば、噛物せいや、続からんあせしお前、子の坊だ殺ち、坊だが飲みる乳、ている乳や吾にくたらみ。一月も二月も生きまさらましんで思えん。」
築登之「うー大翁の仰しゃる事や、ぷり事といみせーる。あったら玉黄金坊だ子と、歳や八十余にないる大翁ぬめーと、けーやうんばっさりー。」
長者大翁「うんいやぶんせいや、親の孝やしきらんあせし戻り戻り。」
築登之「ううう。」
長者大翁「雲上人よー雲上人。」
雲上人「ううう。」
長者大翁「お前が知ちゅる通り、歳や八十余になりば、噛物せいや、続からんあせしお前、子の坊だ殺ち、坊だが飲みる乳、ている乳や吾にくたらみ。一月も二月も生きまさらましんで思いん。」
雲上人「うー大翁の仰しゃる事や、ぷり事といみせいる。あったら玉黄金坊だぐわと、歳や八十余にないる大翁ぬめーと、けーやうんばっさり。」
長者大翁「うんいやぶんせいや、親の孝やしきらんあせし戻り戻り。」
雲上人「ううう。」
長者大翁「坊だがちやー坊だが翁う。」
坊翁「ううう。」
長者大翁「お前が知ちゅる通り、歳や八十余になりば、噛物せいや、続からんあせしお前、子の坊だ殺ち、坊だが飲みる乳、ている乳や吾にくたらみ。一月も二月も生きまさらましんで思いん。」
坊翁「うー、妻とんじ相談しちやびらん。」
長者大翁「いん。」
坊翁「ミトガネ「やミトガネ「や。」
ミトガネ「のうがったりー。」
坊翁「大翁ぬいみせーる事ぬや。」
ミトガネ「ううう。」
坊翁「いやが知ちゅる通り、歳や八十余になりば、おしやがいるむんせいや、続からんあせしいや子の坊だ殺ち、坊が飲みゅる乳ている乳や大翁にくたらみ。一月も二月も生きまさらましんでいみせん。」
ミトガネ「うう、舅親がなしいね、いみせーる事ぬなったりー。若さぬ身なりや、子や産し換てん、抱りやびっしゃり歳や八十余にないる親がなしいぬめーや、二度かいてん拝らんあせし、ゆうかったりー。」
坊翁「いんゆかい妻えさ。大翁のめっさりめっさり。」
長者大翁「ぬーがー。」
坊翁「とじとんじ相談しちやびたー、若さぬ身なりや、子や産し換えてん、抱りやびっしゃり。歳や八十余にないる親がなしいぬめーや、再びかいてん拝らんあせし、ゆうかんでいやびん。」
長者大翁「いんやてから吾や先なて、あんたそんたぬ三本小松のした行じ待ち居ら。坊だ」
ミトガネ「連りて来う。」
坊翁「ううう。千里の原に、迷出て、見れば、大道、方角、定めなし、あんたそんたの、先ぬ、三本、小松の、下に、定めあり、其の松の、しるしに、定めある。大翁のめっさり大翁のめっさり。」
長者大翁「のうがー。」
坊翁「坊だ、ミトガネ「連りて来やびたん。」
長者大翁「いんやてから、こまからかんかん、二尋が内穴掘て、坊だ埋むる事し。」
坊翁「ううう。朝夕伽、しゅたる、玉黄金、坊だぐわや、親孝行の、道に、こまに、送やびら、一鍬落せば、まくいて笑て穴に向う、二鍬落せばまくいて笑うて、母に向う、それ見て涙のよろまらん、御所のある、やらあば、又戻て、抱かりよう。はゝ我が子や宝ど生まりたる黄金の手箱の拝まりん、白銀の手箱の拝まりん、こり大翁の前にお目掛けて、見らんばならん、大翁の前さり大翁の前さり。」
長者大翁「ぬうがー。」
坊翁「吾が子や宝ど生りやびたる、白銀の手箱の拝まりやびん、黄金の手箱の拝まりやびん、くり大翁ぬ前にお目掛て、見らんばならん。」
長者大翁「いん。うりえさうりえさ。昔吾が幼少の時、かじみて置ちある金えさ。三人の子呼で、肝見ちげーから宝譲てわんに抱らんでしやん。しいじやぬたいせいやお前如と、親の孝や任きらんあせし。黄金の手箱や坊だに呉りて。でいでえ家戻て祝さ。」
坊翁「ううう。うしくがじまるや、石抱ちどぱせる、子孫だちぱせる、長者の大翁。」

 

<二番組>今日のふくらしゃ(きゆぬふくらしゃ・手踊り)

【配役】
「一度いふて」に同じ

 

【解説】
 この「今日のふくらしゃ」は、扇子を使わずに手踊りとなっております。
 「今日のめでたい事は、例え様がない、蕾んでいた花々が、朝露を受けて、活気に満ち溢れている様子」という意味です。

 

【詞章】
 今日ぬ福らしゃや、直り座成てぃどぅええる。蕾み居る花ぬ、露ち有たる如。此ぬ庭ぬ中に、桃ぬ木植いてぃ、此りが花咲かば、世が富真米。

 

<一番組>大熊川(おおくまがわ)

【配役】

大熊川・山伏士

 

【解説】
父を殺された奥州(青森県)の大熊川源左衛門が、千人斬りを企てます。それを知る里人が、通りすがりの人にその事を教えている処に、山伏士が現れ、大熊川源左衛門の父が殺された月日等を聞き出し、念仏を唱えながら進んで行きます。その山伏士を大熊川源左衛門は殺そうとしますが、父が殺された経緯を語っているうちに、この山伏士こそが父の敵である事を知ります。しかし、人を斬っても父の供養にはならないという山伏士の説法により、千人斬りの誤りを悟り、以後、大熊川源左衛門は山伏士に弟子入りをすることになるのです。

 

【詞章】
大熊川「罷出でたるは大熊川源左衛門とは、某、父誰人知らずに討たい、何方無念にぞんずる。父菩提の為に千人切を致そうかと思う。先ず急ごう。此の辺でよかろう。」
山伏士「 一身長来満徳円満身。」
大熊川「やいぼーず通しません。」
山伏士「くらいかん。」
大熊川「大熊川源左衛門とは、某、父誰人知らずに討たい、何方無念にぞんずる。父菩提の為に千人切を致そうかと思う。」
山伏士「人を切って父菩提の為になろうかやー、人を切って父菩提の為にならん。」
大熊川「有りば其の方は身が親の死んだ月日を知ったか。」
山伏士「おう知った。」
大熊川「月は。」
山伏士「三月。」
大熊川「日は。」
山伏士「三日同じく石橋山合戦の時、肥後の肥前に居た居た。」
大熊川「有りば此の上は長刀も刀もいればこそなむ師所と万事頼み上げましる。」
山伏士「くらくら皆々御覧候い、只今まで鬼神ように聞うべし、大熊川源左衛門とは全く仏法の道に引入ることでありまじくりくり御座いましくりくり、御座いまし。」

 

 

<一番組>町奉行(まちぶぎょう)

【配役】
大明・旗持ち・五郎・時の彦八・川の十郎・水の源田・天地風・吉屋     

【解説】
大明が、供の者二人を従えて現れ、世はよく治まって目出度いが、吉屋当賢組という町奉行の者共の武芸争い事があるので、その埒を明けなければならない、と思っているところに、時の彦八・川の十郎・水の源田・天地風の四人の武芸者が次々に現れて、それぞれ名乗りをあげます。次いで吉屋が現れ、自分は吉屋行高の一子で、幼少から親を離れ、あちこち放浪した上、ようやく町奉行にまでなったと名乗ります。天地風等は吉屋当賢組に組入りします 大明は吉屋を引見し、吉屋は以後世間並の道に戻る事、当賢組の者共は、唐津の国(佐賀県)に流罪のことと申し渡します。大明の供の者は、当賢組の者共を追い払う事が出来、目出度うござると言いながら大明と共に退場します。

 

【扮装】
「町奉行」は、総勢配役八人で踊ります。旗持ちが持つ四メート五〇センチの百足旗、与論十五夜踊りの中で一番大きな仮面が出演します。


大明→「三者囃子」に同じ
旗持ち→櫛笠・面・刀一本・百足旗
五郎→櫛笠・面・刀一本・大明腰掛
時の彦八→櫛笠・面・刀大小二本
川の十郎→時の彦八に同じ
水の源田→山道笠・面・刀大小二本
天地風→川の十郎に同じ
吉屋→山道笠・襷掛・刀二本・長刀一本・朝伊奈面(直径四五センチ・角付き)

 

【詞章】
大明「町方々の道理豊に治り、先じ目出度う御座る。爰に又吉屋は諸道に渡り、武芸を争い意向むつかしと聞く。是又埒を明てやろう。ざんざあんざー浜松の音はざんざあんざあー。」
時の彦八「いやさ是に出過した時の彦八「といった若い者、若しゆ身なり、かっぷるさいさいぶにゆをぶっちこいたちが返上しないに依ってかぐらざんにきしれども、ほゝほっかけふんだ奥の間に座談の声がひびき渡る。くり何事じゃ、だま言うてやろう。」
川の十郎「いやさ是に出過した川の十郎与衛といった若い者、品川表い見渡に申すは、三枚だら燈を吹掛け吹掛けはゝ宇田走る時があった。帰りはないかふんだ奥の間に座談の声がひびき渡る、是何事じゃ、だま言うてやろう。」
水の源田「いやさ是に出過した水の源左衛門と言った若い者、吉屋は諸道に渡り、武芸を争い殊更奢もなしと聞く。いちり親の首を取ってちばむき出し。」
天地風「いやさ是に出過した、天地風、雲のかよい地なんどと言った。若い者、して円魔の経に付き、地獄に釜しく釜しく、ぷんふにとふにふがし、油揚道にとらせるぞ、くんら奥の間に座談の声がひびき渡る。くりー何事じゃだま言うてやろう。」
吉屋「我幼小ちくばの一子、親身に打離り、ここかしこの屋がまに、かまがりさあるにうたしかんがえ末世によに守る士の世の中ぬこいと言ういたずら者、わたしに打し五尺に足らんやからだの置所にせまりもうからどうからやつくらどうどうしたむんじゃ、だまぶちこい。」
水の源田「吉屋と云ぬるはおの子か。」
吉屋「吉屋と申すは身共。」
水の源田「吉屋は諸道に渡り武芸を争い殊更奢をむなしと聞く。いちり親の首を取ってつばむきだーし。」
吉屋「へん、おの身が取ってつばまばつばみり殺さば殺し、どうでも致し。水の源田して追者ならば、身共が国には入るまいか。」
吉屋「いいる事ならじんと入りたい。」
水の源田「じんと入りたい。」
吉屋「おじゃくの下より言だまいり言いそめましてぐしゅくじゅぐしゅくじゅ言いだまじとう御座る。」
全員「まじとう御座る。」
水の源田「まじとうお急ぎ。」
大明「まじとうお暇。」
吉屋「頼みますう頼みますう。」
大明「誰じゃ。」
吉屋「吉屋御座る。御見舞申し上げましる。」
大明「吉屋と言いるはおの子か。」
吉屋「いん吉屋と申すは身共。」
大明「吉屋は何の武芸を嗜なむや。」
吉屋「ふんー吉屋は稀にひゆぼう詩を作り、捕りたい搦みたいかたがたなどの武芸を嗜みまして、欺くと申し上げましる。」
大明「扨て扨て珍重の武芸を致しずや、汝等一、二人の事をなりば、とがぬ軽重申付うなりば、そうりならん儀じゃ、吉屋は長よりはりひずを致し東県組の者共はから津島に、流罪とう左様に相心得。」 
吉屋「へんーやい、おのこ汝等一、二人の事をなりば、とがの軽重申付をなりば、そうれならん儀じゃ、吉屋は今日よりはりひずを致し東県組の者共はから津島に、流罪とう左様に相心得。」
全員「はいー。」
吉屋「吉屋ははりひずや、身共がようかがいなるしようじようよな、島原ねや城じによな。」
旗持ち五郎「吉屋は東県組の者共首尾能掃合い済みまして先じ目出度う御座る。御供致しましるう。」

 

<二番組>君様(きみさま・扇踊り)

【配役】
「一度いふて」に同じ


【解説】
夜深く過ぎていかなる場所を通るとも、この歌を歌って通れば魔除けになると言い伝えられています。


【詞章】
君様と君様と御座る。君様ぞよ、響きある笛と尺八と兼ね添へて、鳥よりも鐘よりも、酉の朝日の廻るまでも、はづしかねたる打ち枕。はづしうけたる腕枕。君様の君様の、枕並べてまる寝して、うきくりのことば語り尽さん。

 

<一番組>頼朝公(よりともこう)

【配役】
頼朝公   朝伊奈    梶原     助国     与市     ユートウ  ユートウ

 

【解説】
頼朝公が土肥の杉山に籠もっていた時、朝伊奈が伊藤入道助国を歌のやりとりなどで、やりこめる話です。


【詞章】
頼朝公「如何に朝伊奈、われ此の山に住むとつたえ洩り聞こえ、打手が向かうと覚えたり。腹を押すぞかいしゃくいたせ。」
朝伊奈「暫く暫く此の朝伊奈が御供致しましてからは、千儀万儀共おぼしめさりましい。」
助国「頼朝公御座なされまするは何と何と。」
与市「頼朝公御座なされまするは、よいの杉山と申しましる。」
助国「是より道何丁程はあろうよな。」
与市「是より二丁程は御座りません。」
助国「聞いたよりたいそうにもあろうよな。」
与市「左程は御座りません。」
助国「さあ急ごう。」
与市「さあ急ぎましょう。早鳥の杉山につきまして御座いましるう。」
梶原「如何に朝伊奈。」
朝伊奈「身共は朝伊奈では御座らん、此の山の菊売りでござる。」
助国「誰れなろうてぎには合点が行かん。早くふしぎたおせどっこいくら。」
朝伊奈「弓はふしぎではなるまい。」
梶原「如何に朝伊奈、汝が如何程の大力とはありながら、多勢に無勢にかなうまじまじすだりすだり。」
朝伊奈「儀にあやまり言いまして御座いましる。歌一しゅうちのりましょうが、歌の御返歌には預りとう御座る。われはかし詠めし、はなにあらはりておしいもこぎいもゆるしもんのふーう。」
梶原「こら助国殿歌の御返歌御返歌。」
助国「身共が歌とやらば、何も知らん知らん。」
梶原「いたらばそれがし、歌の御返歌を致しますう程に、そなたは御存知のふりして、置くに通りなされましい。如何に朝伊奈、汝が最前の歌の御返歌をとらせるぞ、我ばかし詠し、花にあらわれて、おしいもこぎいもゆるしもんのふー。」
朝伊奈「それ身共が最前読んだ歌で御座るかなー。」
梶原「汝が最前読んだる歌の御返歌にはゆるしむんのふと、自然の人の難儀に及ぶべし。斯一命を助けると云える心ありなる花は、此の場に散し散し。」
朝伊奈「したらば梶原殿、万事頼み上げましる。」
梶原「委細心得ました。」
助国「梶原が最前の歌に腹が入ったは別儀なし、たりなろうてぎには合点がいかん早く防ぎ倒せどっこいくら。」
朝伊奈「身共が手を取る者は何者かゆい。」
助国「身共を知らんか身共を知らん者はなし。伊藤入道助国己の身何者じゃゆい。」
朝伊奈「名乗る程の者ではなけれども、したらば名乗りて聞かそうかやー、朝伊奈の三郎吉秀どっこいくら、お身最前此の木をふしぎみんと言うたな、此の木には頼朝公御座なされて、ありふしぎたはいたならゆいくともあろうかや、おの身助けるやつではなけれ共、のちに思いを知らせん。」
ユートウ「身共が旦那を許さんか、許さずんば只今いつ殺すぞドーン。」
助国「過言で御座った。御奉公御礼申した過言で御座った過言過言。」
与市「過言で御座りました。」

 

<二番組>獅子舞(ししまい)

【配役】
太鼓打ち  獅子舞い  獅子舞い  獅子舞い

 

【解説】
獅子扱者一人と獅子の中に入る二人の若者で舞います。
「しーしがまわればーうみさいなー」と歌いながら獅子を舞場一杯踊らせます。詞章の意味は「只今から獅子舞を行う、どうぞご覧下さいませー」。
 獅子頭は木製で、舞う時は奇妙な音がします。獅子の身体全体シュロの皮などを縫い付け尻尾の動きも又この踊
りの妙味があります。

 

<一番組>長刀(なぎなた)

【配役】
牛若丸   牛若丸   弁慶    弁慶

 

【解説】
牛若丸と弁慶の戦いの踊りで、牛若丸と弁慶の扮装は同一扮装です。牛若丸に二名・弁慶に二名の四名で踊ります。戦いの末、弁慶は牛若丸に敗退します。

 

【詞章】
弁慶「只今陣頭に進み入りたる落葉物。如何なる者とか思うらん。済藤のかたはらに、武蔵坊弁慶はなーわがことなり。戦にまいり戦の花うちらそうーじるみて候。」
牛若丸「 只今陣頭に進み入りたる落葉物。如何なる者とか思うらん。当時蔵まり谷せめよせ、牛若丸はなーわが事なり。戦にまいり戦の花うちらそうじるみて候。」
弁慶「あらいたわしの牛若丸はなー弁慶に戦てはかのうまじ。」
牛若丸「 あらいたわしの弁慶はなー牛若丸に戦てはかのうまじ。」
弁慶「みのーたみ。」
牛若丸「おーすうない。」
合同「ヤアリークウリヤカタアシンジユジキタンタアヒト思イナワセバトウヌウ武士タンダアヒト。」
弁慶「みのーたみ。」
牛若丸「おーすうない。」

 

<一番組>六十節(ろくじゅうぶし)

【配役】
二番組と一番組の踊り子全員

【解説】
与論十五夜踊り最後の締めくくりとして踊られ、祝い歌で始まり、仏歌にかわります。この踊りの時だけは、一般参加者も自由に参加して、カチャーシーで締めくくります。

 

【詞章】
一、目出たのなあ目出たのなあうれし目出たぬないきりぎりどもさんきな、はらよいのな(枝も栄える葉も茂る。かれやかれや)
二、からしがなあからしがなあやぶみからしがないきりぢりどもさんきな、はらよういのな、金は持たずに買う買うとというあいだも茂る葉も茂るはれ茂る  はれはれ(さらば東西南北ちいじまみたんだ)
三、石垣なあ石垣なあ城の石垣ないきりぎりどもさんきな、あらまいたまこと石じゃもの金じゃもの、ならばさしとせ
四、天地堂の仏ならちに合うてのまるゝ筈はないきりぎりどもさんきな、はらよういのな、ちに合うてまかる、からちたが又仏じゃからあらよいささゝよう  いよさ
五、ちたが又仏なら火に合うて焼るゝ筈はないきりぎりどもさんきな、火に合うて焼るゝから火が又仏じゃから
六、火が又仏なら水合うて消ゆる筈はないきりぎりどもさんきな、水合うて消ゆるから水が又仏じゃ
七、水が又仏なら魚合うてのまるゝ筈はないきりぎりどもさんきな、魚合うて呑まるゝから魚が又仏じゃ
八、魚が又仏なら人合うてかまるゝ筈はないきりぎりどもさんきな、人合うてかまるゝから人が又仏じゃ
九、人が又仏なら仏の前に拝みる筈はないきりぎりどもさんきな、仏の前にて拝みるから仏こそ仏じゃ

 

<二番組>沖泊り(おきどまり)

【配役】
「一度いふて」に同じ

 

【解説】
この歌の中の、「石なごうぬ石ぬ、大石なるまでぃむ」は、君が代の「さざれ石の巌となりて」に似ている歌詞です。

 

【詞章】
沖泊り真砂や、太陽どぅ紛らしゅる。御月紛らしゅる、我玉黄金。石なごうぬ石ぬ、大石成るまでぃむ、御蔭治みしょ
うり、我が王がなし。

最終更新日 [2017年5月9日]  
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